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「学校の47不思議って他にどんなのがあるの?」
階段をのぼりながらイサオが訊いた。
「47じゃないぜ、全部で48あるんだぜ。
HSF-48って呼ばれてるんだぜ」
「えいちえふえすふぉーてぃーえいと……
適当言うなよ」
ハジメの言うとおり、ゴウは適当なこと言ってる。
僕の記憶が確かならそんなふうには呼ばれていないはずだ。
「図書室の扉と3年5組の生首で2つ。
あと46もあるんだよね」
イサオは興味津々といった感じだ。
だけど、歴史年表も暗記できないゴウが全部を憶えてるとは思えない。
「えっと、その24あたりにこの学校がロボってのがあったぜ。
なんでも第二次大戦中に旧日本軍で極秘裏に軍事兵器としてのロボの開発が進められてたんだぜ。
本土決戦を想定して、敵が攻めてきた時に公共の施設がロボに変形して戦うって計画だったらしいんだけど、けっきょくその第一号になるこの鳩朔学園校舎を作った時点で終戦を迎えて、可動する機会がないままになったらしいんだぜ」
「おお、変形巨大ロボか!
かっこいいね」
ロボットアニメの好きなイサオはこういう話はとても嬉しそうだ。
「操縦席は校長室で、変形するスイッチは壁にずらっと並んだ肖像画の初代校長のもみあげにあるらしいぜ」
「どうしてもみあげなんだろ」
「もみあげは英語でSideburn(サイドバーン)だぜ。
つまり日本側(サイド)だけが燃えて(バーン)、戦局が極めて不利になった状況でのみ、このロボ動かしていいっていう戒めの意味を込めてもみあげスイッチにしたらしいんだぜ」
「サイドバーンなら、なんだかカッコイイよね」
ゴウのやつ、英語のテストはいつも赤点のクセにどうしてそういうのはちゃんと憶えるのか。
ふざけたスイッチではあるけど、イサオの様子を見ていると、わざわざ来賓用出入り口の傍にある校長室まで戻ってスイッチを押そうと言いださないか、少し心配になる。
ここは別の話に変えておきたい。
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