1人が本棚に入れています
本棚に追加
ジリリリ!ジリリリ!
けたたましく鳴る目覚ましに手を伸ばして私は時計を止めた。
7時10分。
憂鬱な一日がまた始まる。
学校が休みになるまで今日を入れてあと3日。毎日カウントダウンをしながら朝を迎える。
私は気怠い身体を渋々起こし、横のカーテンを開けた。光が一気に部屋を明るくする。
ベッドを降りて、小さなタンスの隣の壁際にかかった制服に着替えた。
私の部屋は勉強机がない代わりに、小さな机が置いてある。
その上に乗っていた筆箱を取り、充電していた携帯を鞄に入れた。
高校に入学してから3ヶ月。
クラスに慣れてきた頃ではあるが、私は毎日憂鬱だった。
友達がいないわけでもなく、成績も中の上くらい。別に嫌というわけではない。
だけど物足りないという感じと、不安になることがある。
全身鏡を見ながら制服を軽く整えて、私は一階に向かった。
「おはよう」
階段を降りて真っ直ぐ行くとリビングだ。
お母さんが朝ご飯を作っている。
お父さんは椅子に座って新聞を読んでいた。
私が挨拶をすると、二人ともおはよう、とこちらを見て返してくれた。
私が座ると、お母さんが朝食を出してくれた。
今日はサラダと味噌汁とおひたしと塩鮭とご飯。理想的な和食だ。
「お父さん、今日は遅いね」
「あぁ、今日は前に出勤した時の振替休日なんだ」
そういえば前に日曜日に出勤してた気がする。
私は聞いておいて「へぇ」と軽く返した。
いただきますと、挨拶をして朝食を摂り始めた。
私は誰も見ていなかったテレビを見始める。
ついてるのはいつも同じ番組で、エンタメ情報やニュースが流れていた。
昨日の国会でどうだったとか、女性が自宅で刺されて死んでいて子どもが行方不明だとか、前に高校生でデビューしたバンドの順位とか。
そんな話ばかりで正直興味がない。
エンタメも友達と話を合わせるために少し見るくらいだ。
最初のコメントを投稿しよう!