1人が本棚に入れています
本棚に追加
テレビを流し見しながら朝食を口に運ぶ。
「美沙、奈緒は?」
お母さんがテーブルにお弁当を置きに来た。
「さぁ。まだ寝てるんじゃない?」
「全くあの子は…」
お母さんが階段を昇って、奈緒を起こしに行く。
私は朝食を食べ終え、食器を流し台に片付けに行くと、お母さんと一緒に奈緒が降りてきた。
「お姉ちゃん!起きるときに一緒に起こしてよ~!!」
「いい加減自分で起きなよ」
不満を漏らしながら奈緒が降りてきた時間は7時40分だった。
私の高校も、奈緒の中学校も家から徒歩15分もかからないくらいだ。
高校は近いから今のところを選んだ。
「奈緒、ご飯は?」
「食パンちょうだい!ゆっくり食べてる暇ない!」
「奈緒が来た途端騒がしくなったなぁ」
「お姉ちゃんみたいにもうちょっと落ち着きなさいよ」
お父さんはクスッと笑い、お母さんは呆れた声を出した。
忙しく準備をする奈緒を余所に、洗面台で髪の毛を整え、歯を磨き始めた。口をモゴモゴさせながら奈緒が後ろから来て、髪の毛を一つに結ぶ。
奈緒曰く、結べば綺麗に整えなくても、なんとかなるらしい。
口に入った物を飲み込むと、奈緒も歯を磨き始めたので私は口をすすいでリビングに向かった。
8時2分。
25分にホームルームが始まるので、そろそろ家を出なければ。
私はお弁当箱を鞄に入れてから、お茶を一杯飲んで、お父さんに行ってきますと声をかけた。
お父さんはこちらを見て、「気をつけてな」とまた新聞に目を落とした。
最初のコメントを投稿しよう!