水曜日

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玄関で靴を履いていると奈緒が勢いよく向かってきた。 「待ってよ~!途中まで一緒なんだから一緒に行こうよ!」 「奈緒!お弁当忘れてるわよ!」 お母さんが奈緒にお弁当を渡して、二人で行ってきますと言って家を出た。 「お姉ちゃん、最近私のこと置いていこうとするよね」 奈緒が口を尖らせて、文句を言う。 「それは奈緒がいつまでも甘えてるから。もう中2なんだからしっかりしなよ」 私が嗜めると、奈緒はだって、とムスッとしていた。 奈緒は私と違って喜怒哀楽もハッキリしてるし、自分の言いたいことも遠慮なく言う。 明るくて、甘え上手で初対面の人でもすぐ仲良くなる。 私も実際に奈緒を甘やかしている。 奈緒も私を慕ってくれるので尚更だった。 友達からはよくシスコンだと言われる。 奈緒もなんだかんだ私が奈緒を置いていかないというのも分かっている。 私も実際置いて行くつもりはない。 だから機嫌を悪そうにしてるのも演技だ。 膨れっ面をした奈緒の頭にぽんっと手を置いて「行くよ」と促すと、奈緒は自分の頭をさすって顔を緩めた。 「お姉ちゃん。お姉ちゃんの学校はカッコイイ人とかいる?」 「なに?いきなり」 「みんな彼氏が欲しいって言うからさぁ。私も欲しくないわけじゃないけど、同じクラスの男子とかカッコイイとか思わないんだよね。だから高校生とかになると違うのかなって」 前までは「お腹減った。プリン食べたい。焼肉食べたい」と食い意地の張っていただけの妹から恋愛話を持ちかけられ、少し戸惑う。
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