秋の宴

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「まあ。 それが生徒会の仕事、なんでしょ」 現在、2年の身でありながら 生徒会副会長を任している私は 生徒会室から雲隠れした 会長やその他役員を思い出して 軽くイラつきながら言う。 「でもさ。 もう暗くなってきたし いい加減に仕事止めたら?」 「奈津はそう言うけど。 それを決断してくれる先輩や 会長も居ないし。 全校生徒の集計、いつ、まっ…!」 愚痴を途中で遮られ ああ、もうっ。と 奈津に腕を引っ張られる 「責任感あるのは良いけど! 生徒会は美香だけじゃないんでしょ? 他の人が居ないってことは 他に用事があるってことじゃないの?」 そのまま宵がすっかり広まった教室の 窓際に引きずられ、奈津は窓を開けた。 金木犀の香りが教室中に充満する。 だか、仄かに金木犀とは違う 暖かい食べ物の匂いが鼻をくすぐった。 何だろうと窓から下を覗き込むと そこには雲隠れしていた会長や 生徒会役員たちの姿があった。 「あ!堂下ぁ。学祭の打ち上げやんぞぉ。 上着着て早く中庭集合な!」 会議長机の端で 煮え滾る何かの蓋をあけ 会長は私に声を張り上げて言った。 スパイスの香りが 金木犀の香りを上書きする。 ほらね。と奈津は いつの間にか持っていた 私の上着を差し出して笑った。 秋の学校では、 小さな宴が開かれる…。
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