第1章 地獄の仕事

3/20
前へ
/108ページ
次へ
丸無しの報告はなんとしても避けたかった。 松本の怒声が飛び、ビンタの一、二発は覚悟しなければならなかった。 なんとか丸を最低一件確保したかった。 健太は自分を鼓舞するように住宅街を一軒ずつ練り歩いた。味噌を買ってくれそうな古びたターゲットの家を見つけたら、 家に近づいてそっとインターホンを押す。または、わざと門扉の先の玄関まで行き、ノックをする。この際、表札に書かれた名前を呼び、いかにも知り合いを装い警戒心を説く。 松本に教えてもらった技だ。 「佐藤さーん、ごめんください。」
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加