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倒れている僕を見て
彼女は
「ねっ、倒れたでしょ」
ニコッと笑った、いつものように
そんな彼女をみて
僕は
苦笑いをしてしまう
「ま、そんなことよりさ、はやく立ったらどうだい」
「そうだね」
僕は重たい身体を持ち上げた
「ドーン!」
彼女が立った僕の身体を押した
それも強く
えっ
僕はまた床に倒れた
「何するんだ、痛いじゃないか」
痛いというよりは、驚いてしまった
倒れた僕の身体を股がり
彼女は僕の顔をみた
それも僕の顔まで数cmあるかないか
の距離で
カップルがキスをする数秒前のように
僕の顔をみている
ん、、これは
彼女の匂いだ
髪の匂い、、女の子の匂い、
高校にはいってこんなまじかで嗅ぐことができるなんて
それも僕の
幼馴染みの彼女の匂い
幸せなのは間違いない
僕の気持ちも知らずに彼女は
口を開き言い放った
「君は、人里くんは、鉛筆が怖くて倒れたんじゃない
私が怖くて倒れたのではないのかい」
あぁ、確かに僕は
目に鉛筆を突きつけられたより
それを平然とできる彼女に恐怖を感じた
怖くて、恐くて、たまらなかった
その時の彼女の笑顔が、、
僕のことを心の底から、殺す、という
感情だけで動いていた
それは人を殺すことに慣れているかのようだった
だけれど
そんな彼女さえ
僕は好きになってしまうのだから
おかしなものだな
あの時の彼女の顔は
きっと、作り笑いなのではなく、
心の底からの
彼女の笑顔だったに違いない
その笑顔は恐怖そのもの
僕の心にはいつでも
彼女への恐怖がある
彼女は僕に恐怖を植え付けた
けれど
そんな君を嫌いにならないのは
きっと僕の心は
既にこのとき殺されてしまったに違いない
そう、、僕
人里 始は
そんな彼女に
恋をしたのだ、、、
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