彼女登場

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僕はそういう人間だ ひどい奴と思われるかもしれないが きっと僕じゃなくても、誰かが僕と同じことをするのだから 僕がやっても文句はないはずだ! そう思っている僕なのだが でも、なぜだろう 自分でも不思議だ この手紙はきっと僕宛なんだ そう思わせる、手紙の裏に書いてああるこの字、どこかで見たことがある 今日の僕はこの手紙を開けなくてはならない、、まるで使命のように 開けたいとさえ思っていた この手紙を開けたら、ほんとに僕は死ぬのだろうか、、 死ぬことに関して僕はなにもおもわない 、 別に死にたいってことでもない いつか死ぬなら今死んでも といったところだろうなー 長生きしたい! そう願ったことなどないのだ 長生きするなんて苦痛ではないか もしかしたら今日事故にあって、脊髄が折れて動けない身体で長く生きたって楽しくない もしかしたら今日家族が死んで、長いあいだ独りで生きるなんて寂しい なら僕は 健康に生き周りの人が生きているなら 短い人生だってかまわない それが僕、人里 始 (ひとり はじめ)だ だから この手紙を開けるのも恐くないのかもしれない そんなことを頭で考えながら そっと、手紙を開けた
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