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好きだから。
好きだからこそ、相手の気持ちを考えもしないテッドが、我慢ならなかった。
「あたしがテッドを好きって気持ちは、微塵も変わらないわ。
……けど……」
「リサ?」
俯いたリサを心配してか、顔を覗き込んできたテッドの表情は冷たい笑みも意地悪いな目付きも消え去り、優しくて穏やかであった。
――そんな些細な優しさが嬉しいんだよ、本当は。
伝えたい気持ちを飲み込み、リサは静かにかぶりを振った。
このままじゃきっと、ふたりともダメになる。そんな確信が、どうやっても拭えなかった。
「あたしの気持ちくらいわかってよ。馬鹿みたいに他の男を牽制するくらいなら、―――もっとあたしの事わかってよ!!」
「ちょ、リサ!」
「もう知らない、バカ!!」
テッドの視線が怖くて。
一緒にいるのが怖くて。
リサは、振り向くことなく自分の隊舎へと逃げ帰った。
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