Hands.

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「ぶっはぁ~……!!」  一人残され、ビールを煽るテッドからは、いつもの人懐こい表情は消え失せていた。  とくとくと手酌でビールを注ぐ目は据わり、長い時間誰も近付こうとはしなかった。 「おーおー、本当に荒れてら」 「……何スか」  現れた人物を軽く睨み付けてが、相手に怯んだ様子は無い。  むしろへらりと笑い、手に持った瓶を揺らしている。 「上等の酒貰ったんだ。仕方ねぇからテッドにも分けてやるよ」 「あの」 「グラスは、と……これでいっか」 「……あの、」 「注ぐぞ~! これな、西の国で採れた作物から作った酒なんだと。貴重なんだからな、心して飲めよ」 「あの!」 「なんだよ」  咥えた煙草をガジリと噛み眉間に皺を寄せ、少しだけ機嫌を損ねた顔で男――シンはテッドを見やった。  元上司でもあるシンの視線を受け取ったテッドは所在なさげに瞳を泳がせ、尖らせた唇でぼそりと「何なんすか、その態度」と零した。    彼は要らぬ事ばかり仕出かしては部下に怒られる上司ではあったが、こんな風に回りくどく人の心配をするような人物ではない。 .
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