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◆◇◆◇◆
「――やぁっと潰れた」
「かー……」
「あー俺も結構酔っ払ってるわコレ。おうリサ、まだ寝てなかったのか?」
「……」
酔い潰れ、テーブルに突っ伏して寝てしまったテッドの頭を叩き、ぶるりと頭を振ったシンはゆっくりと歩み寄ったリサに笑みを送った。
けれどリサはそれには答えず、いびきを立てて眠るテッドの後頭部を見つめ顔を歪ませた。
「シン……あたし、やっぱりテッドが好き……」
「だーめ。今のままだと、お前ら互いに傷付け合うだけだろ?
悪いけど、それだけはさせないから。でないと何の為に俺がリサをあっさり諦めたのか、わかりゃしない」
「……」
「ただ好き合うだけじゃ、互いの為にならない事もある。もっと相手の気持ちをよく考えなきゃな。……リサ、お前もな?」
「ん……ありがと」
リサの頭を優しく撫で、先に寝るよう促すとシンはテッドを肩に担いだ。
……軽く、よろつきながら。
「重っ」
元気の無いリサの背中を見送り、シンはテッドを抱えたまま自身の隊舎へと向かう。
季節は、冬。
訳無く身も心も切なく、寂しくなってしまう時期だ。
「……俺、どんだけいい奴なんだよ……」
シンは以前、リサにきっぱりとフられていた。
けれど彼女がテッドと仲たがいするたびに誤解を解き、機嫌を取り、仲を取り持っていた。
おせっかいでも、余計なお世話でもいい。ただ、リサが哀しまなければそれでいい――と。それだけの想いで。
「あほらし……こんのクソバカが」
自分の損な役回りをきちんと理解し、それでも手を引くわけにはいかないと項垂れたシンはテッドの頭を一発殴る事でそのやり場のない重いを発散した。
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