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デスパまで5分は掛かる。 そうなると、残りの時間は10分足らず。   「蒼夜くん。俺が先行するから、君は絶対に、俺の前には出ないように。良いね?」 「はい。イクルさんの職業ってなんですか?」 「俺は、吟遊詩人だよ。」 「えっ!大丈夫なんですか?」 まぁ、当然の反応だな。吟遊詩人の戦い方を知らない人にとっては。 吟遊詩人なんて、ただ街中で歌って、音楽を奏でるイメージしかないからな。 「まぁ、見てて。面白ことを見せてあげるから。」 俺は、思わずニヤリと表現されそうな笑みを浮かべた。 デスパに辿りついた俺たち。 入口からダンジョン内部に入ると。 少し離れた所にドレイクが5匹居る。 今は、戦闘している時間がないので、そのまま素通りする。 後ろから、蒼夜くんが来てるのを確認しながら。 だだっ広いだけのダンジョン。 通過した先に、違うドレイクの5匹が俺たちと視線が合う。 ドレイクのターゲットが、俺と蒼夜くんにロックオンされる。 身構える蒼夜くんだが、武器も防具も無い状態で、中級モンスターのドレイクを相手にするのは無理だ。 俺は素早く竪琴を奏でて、スキル平和を発動する。 すると、俺たちにターゲットしていたドレイク5匹が動きを止める。 「急いで!」 「あ・・・・はい!」 俺の言葉に、蒼夜くんが返事を返して、視線を彷徨わせるドレイクの横を通過しようとした時に。 再び、ドレイク達の視線が俺たちに向けられる。 俺は慌てずに、竪琴を奏でて平和を発動。 その間に、ドレイク達の横を通過する。 通過の際に、二度ほど平和を奏でる。 その後も、平和を何度も奏でながら、蒼夜くんの死体が在る場所まで辿りついた。
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