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「失礼します」
声をかけて扉をゆっくり開ければ、窓際に座り目の前のスケッチ用紙に手を動かしていた。
教室で話した時と違い、真剣な表情で集中している。
どう声をかけようか迷っていると、彼女がふと顔を上げ目が合う。
「来てたんだ、宗那君」
「…う、うん」
表情の変化に見とれて、声をかけるタイミングを失っていたとは言えない。
「ごめんね。なにかに集中していると、周りの変化に疎くなるから。ちょっと待っ、うわっ」
片付けしている最中、スケッチを落としたり、椅子に足を引っ掻けようとして体制を崩す様子は見ていてハラハラする。
「大丈夫か?」
思わず声をかければ、彼女は「大丈夫」と頷く。
「座って待ってて」
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