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「凄くカワイイわ、この子」
つん、と右手人差し指でつついたのは、俺が飲んでいたペットボトルの少し手前の空間。
ごく自然な行動に、俺は動くことができず、声も出ず目を丸くする。
まさか、見えているのか?
「毎日服装が違うから見ていて楽しいし、髪がさらさらで羨ましい。いやだ、ほっぺたもぷにぷにで色白。凄い、つるっつるのすべすべなさわり心地。なにこれ、どうやってお手入れしてんのよ」
おう、今ので決定的だ。
完全に見えて認識して、両手を使って本格的に触れ出した園田さん。
つんつん、わさわさ、なでなで。
園田さんの手が休みなく動いている。
「可愛いわね、小さい宗那君」
「そ、そうか?」
ふにゃりと表情を崩す彼女の笑みに、俺は彼女の手元に見る。
彼女が触れている先には、掌に収まる程の小さな物体。
制服を少し着崩し、手足をじたばた動かしながら彼女の可愛がりの手に抵抗しているのは、今の俺をそのまま掌サイズに縮めた小さい自分だ。
瞳を輝かせ満面の笑みを見せて「凄い! 羨ましい! 可愛い!」と言いながら遠慮ない触れっぷりに、俺はようやく彼女を止めようと動き出す。
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