第1章

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「小さい俺が関係あることから解決しようか?」 「うん。あのね、この部屋で探し物を手伝ってほしいの」 「何を探せばいいかな?」 「えっと~」 俺の問いかけに彼女の言葉が途切れ、俺と小さな俺を交互に羨ましそうに見ていた。 何故、と疑問に思っていると、苦笑交じりに息を吐き出した。 「小さい私」 「ああ、そう言えば見えないね」 頷きつつ、俺は彼女の周囲に視線を向ける。 小さな園田さんの姿がない。 誰しも己の分身と思う小さな自分が、本人のそばにいるのに、園田さんの周りにはいない。 確認しつつ、俺は彼女に話しかける。 「園田さんは、小さい自分が見えていたんだ」 「うん。でも他の人のが見えたのは、宗那君が初めてね。だからちょっと驚いたけど」 視線が手元に向くので、小さい俺をちらっと見れば、俺の手の影に隠れて様子をうかがっていた。 警戒心丸出しだな、そんなに怖かったか? でも、園田さんの探し物を見つけるには、こいつの協力が不可欠だ。どうしたもんかな? 解決策を考えていた雰囲気を察したのか、影から出てくると、掌に移動して数回足蹴りをもらった。 うん、地味に痛い。予想以上の力強さに、俺はため息をつく。
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