第1章

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気がつかない内に、俺はイライラがたまっているらしい。 「それじゃあ、どのあたりから探そうか?」 早めに済ませてご機嫌とらねばと、室内を見回していたら、園田さんは石膏像がおいてある棚の下の方を指さした。 「多分、ナツはあの辺にいるはず」 言われた場所をみつつ、俺はあれ?と首を傾げる。 「ナツ?」 俺の疑問に、園田さんは「そうだよ」と頷く。 「小さな私の名前。私の名前の一部をとって、カタカナでナツ」 「名前があるんだ」 軽い驚きと何気なく行った言葉だったが、彼女は目を丸くして見返してきた。 「もしかして、宗那君。この子名前ないの?」 「・・・ない」 言われて思い返せば、俺は「小さな俺」としか呼ばなかった。不便なことも今までなかったから、特に気にしたことがないことに今更ながら気付く。 「宗那君。小さい彼に失礼だよ。いくら周りに見える人がいないからって、名前以外で呼ばれるのは、この子寂しくなかったかな?」 「どうだろう?」 目を向ければ、腕を組んで大きく頷く。 それから、園田さんを見てにかっと笑って軽く拍手して見せた。 彼女の意見に大きく賛同して見せたのを見て、「どういたしまして」とお礼を言う。
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