第1章

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ただ、園田さんの手がピクピク動いるのに気付くと、じりじりと後ろに下がって警戒して見せた。 名前の件と自分に触られるのは、彼の中ではっきりと区別をしているようだ。 「名前の件は後から考えるとして、探そうか」 何度めかの脱線をしつつ、本題に戻す。 内心動揺して落ち着かない自分を、相手に気付かれないよう隠すのに必死だ。 小さい俺が、はっきりと自分の意見を表現するのを初めてみた。 いや、初めてじゃない。2回目だ。 1回目は、高校受験の時に何故か積極的に動いて見せた、柳井君と河田さんの時で俺自身もすごい驚いた。 あの後、二人はいい結果になったから、積極的に動き出した時は、小さい俺の様子を見て俺自身は少し慎重に行動している。 自分でも気付いてないことを、小さい俺が教えてもらうことが多いからだ。 いい名前考えようと内心決意して、園田さんが言っていた場所を探す。 小さい俺を手に乗せ移動させると、棚の隙間手前で立ち止まり空間を見つめる。
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