第1章

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「3年生で部活の男子先輩がね、色々ちょっかい出してくるの。自分の容姿に凄く自信があるらしくて『僕に惚れただろう、つきあおう』が自己紹介前の初対面の人間に、言う言葉じゃないよね」 「同意見だ。男の俺でも引く。非常識かつ怖いな。鳥肌たっちまった」 彼女の意見に大きく頷き、思わず両腕をさする。 同じように顔をしかめる俺に対し、園田さんはため息をつく。 「あの時すぐ辞めようとしたけど、今年は新入生の数が足りないらしくて、他の先輩方に引き留められたの。先輩の言葉は挨拶代わりで、聞き流してかまわないからと言うけど、顔を合わすたびに言われて断っていたけど、全く聞いてくれなくて」 はあ、と大きく息を吐き出しながら、園田さんは俺の隣で膝を抱えていた。 机の影が彼女の表情をより疲れた様子に見せ、俺はナツがいなくなった理由がなんとなくわかってきた。 「園田さん、相手の先輩のこと避けられない状況があった?」 「大ありよ!」 顔を上げた彼女の表情は、目つきが鋭いものへと変わっていた。
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