第1章

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「夏休み前に学生限定の美術展があって、先輩が私をモデルにするから、私は作品を出さなくてもいいと言い出した時は、あの場に部長がいなかったら本気でぶん殴ろうかと思ったわ。副部長で責任ある立場にいながら普段は幽霊部員のくせに、勝手に決めつけて何様のつもりだ!」 「う、うん。本当に勝手だな」 俺を見て怒られても困るが、当時の状況を思い出したのだろう、腹立つ怒る園田さんは迫力がある。 言い寄る先輩の気持ちも、わからないわけでもない。俺から見ても、彼女は綺麗だし男子に人気がある方だろう。 ただ、顔も知らない先輩の態度は、男嫌いと言う園田さんにいい印象はないのは確かだ。 「部外者の俺でも、聞いた限りじゃ変だと思う。その副部長先輩」 同感だと頷く俺に、彼女は軽く目を見開いた後、両手で口元を隠して視線をそらした。 「あの後部長が副部長を叱ってくれて、私は絵のモデルはせず、自分の絵を応募していいことになったよ。それに、部長が顧問の先生と話し合って、絵が完成するまで副部長と会わない工夫もしてくれたの」 「良かったな」
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