第1章

25/32

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
「うん。ただ、先輩のことでゴタゴタしていた時に、ナツがいなくなったことに気付いて。部活中に見えなくなったから、教室内探してここかなあって。呼びかけたら、一度だけ小さく返事のような音が聞こえたから」 小さな俺が隙間に入っていた場所を、心配そうに見つめていた。 「ナツを初めて見た日から、お互い別々に長い間離れたことがなくてどうしているか心配で」 「そうか」 様子を聞く限りでは、園田さんの先輩に対する言いたいことやしたいことを我慢しすぎた彼女の気持ちを、ナツが行動に移したのだろう。 見たわけではないが、恐らく先輩の小さい人をビンタして、関わりたくないから姿を隠した。 だけど、園田さんには何故ナツが自分から離れたのか、理由がわからないから心配で仕方がない。 でも、小さい2人が隙間から出てきたら解決できるだろう。 そう結論づけ楽観的に考えていた俺は、この時自分が聞きそびれていた園田さんのもう1つの相談事を忘れていた。 ガタガタと足元から音が聞こえ、2人揃って視線を小さな俺が入った隙間を見る。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加