第1章

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暫く音が聞こえた後、隙間の奥から俺達の足元に落ちてきたのは小さな片足分の靴。 「おい、大丈夫か? なんでもいいから返事くれ」 見覚えがありすぎる。 小さな俺が気に入って履いていた物だけだから、いつもどおりじゃない状況を見て焦る。 「宗那君、大丈夫だよ」 隣にいた園田さんは、落ち着いた声で話しかける。 「多分、ナツのせいだと思う」 「どういうこと?」 彼女の方に目を向ければ、視線を隙間に向けたまま頬をかきつつ口元が引き攣っていた。 疑問を感じつつ、更に問い掛けようとしたら、足元から音が聞こえ視線を隙間に戻す。 耳をすましていると、音が近づいてきて小さな俺が姿を見せた。 ちょっと着崩れた姿ながら、無事な姿にほっとした矢先、いきなり小さな俺が前に倒れた。 「えっ!? 何事?」 「ちょっと、ナツ。駄目!」 俺の驚きと、園田さんの注意する声が重なる。 よく見れば小さな俺が倒れた上に、ちょっとだけ小さい園田さんそっくりな女の子がいて大胆にも抱きついていた。
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