第1章

27/32

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
「急にそんなことしたら、怪我して危ないでしょう」 小さな彼女を叱りつけながら、手を伸ばして掴む。 両手で包み込んで小さい俺の上から取り上げると、 倒れた状態のまま動かないこと心配していた。 「宗那君ごめんね。彼大丈夫かな?」 必要以上に近づかないよう、未だに動きのない小さい俺を見つめていた。 「あー、動けそうか?」 本当なら園田さんのように、小さい俺を掌に乗せて怪我をしてないかとか、抜けた靴をはかせたりとか、することは色々あったはず。 ただ、声をかけたのはいいが、普段俺以上にしっかり者の彼の見たことのない姿に、どうしたらいいかわからず動揺しまくっていた。 こちらの問い掛けに両手でバツの形をすると、ゆっくりと顔を俺の方に動かす。 若干涙ぐみ酷くて疲れた表情は、見ていて申し訳なかった。 「と、とりあえず、起きられる元気が出るまで楽にしていいからな」 お疲れ様の気持ちをこめて軽く頭を撫でれば、パタンと頭を伏せ動かなくなった。 休ませている間に、俺は園田さんに向き直る。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加