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彼女の手には、園田さんをそのまま小さくした子が大人しくしていた。
「その子がナツ?」
「ええ。宗那君ありがとうね。ナツが無事に戻ってこれたよ」
目を細め手の内にいる小さな彼女の頭を撫でる。
一方ナツの方は、こちらを見る目がキラキラ輝いていて手を伸ばしてくるので、なんとも落ち着かない。
「えっと、初めまして?」
人差し指を差し出せば、ギュッと両手で握りぶんぶん上下にふって満面の笑みがあふれた。
「いいなあ、ナツ」
羨ましいと呟く園田さんに対し、ナツは俺の手を離し彼女と向き合い、いいでしょうと言わんばかりにムフフと笑った。
「…………」
お互い笑顔を浮かべながら無言でにらみ合う二人に、俺はどうしようか考え、未だ寝そべる小さな俺を見て、場の空気を変える為に問い掛けた。
「園田さんは、小さな俺を初めて見たのはいつ?」
「入学式の日だったよ。迷子になりかけていたところ、助けてもらったの。もう後ろ姿が可愛すぎて」
「へー、そうか」
ごくたまに出る自己主張的な行動に、俺は心内成る程と頷く。
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