第2章

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「わかった」 忠告に頷けば、自分の席に戻る背中を見送ると、先生が教室に入ってきた。 連絡事項だけ話して、一時間目の授業を始まる。 中間テストが近い事もあって、みんないつもより集中して授業を受けていた。 俺も先生の説明を聞きつつ、ノートに書き留める作業の前で、ショウとナツは小さな消しゴムの欠片に座って話している。 ナツはニコニコ笑顔を見せるのに対し、ショウは相づちをしながら、時折教室の教壇側入口を気にしていた。 なにがあるのか俺も視線を向けると、入り口傍の窓に人影を見つけた。 なんだろうと目をこらせば、この学校の制服を着た小さな男子生徒で、こちらを睨んでいるような表情をしている。 心当たりのない相手に、誰だろうと首を傾げた時だった。 「よそ見とは余裕だな、宗那君。次の問題を答えてもらおうか?」 先生の声に、自分の眉間にしわが寄るのがわかる。
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