第2章

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内心、ちくしょうと文句を言いつつ、立ち上がる際窓際に目を向ければ、小さな男子生徒と目が合う。 俺と目があった瞬間、ふっと鼻で笑い立ち去った。 手にしていた教科書の半分を、握りしめすぎてしわくちゃになったのは、決して俺だけのせいじゃない。 先生の質問には解答できたのに、追加でもう一個解答しないといけない状況も納得いかん。 なぜだ、小さい男子の身知らずの相手にむかついたまま、目つきが悪くなって先生を見たからか? 解答を終えて席に着いた俺に、机の端で話していた二人が気遣うように見上げていた。 大丈夫だ、と安心させるよう小さな笑みを見せ軽く頷く。 ナツは俺の右手側に来て指をなでなでする。 少しこそばゆい感覚で手を動かしたくなるのを我慢しつつ、お礼に左手でナツの頭を撫でかえす。 その瞬間、ボンッと音が出るほど顔を真っ赤にして固まってしまった。 ええー、なんでやねん?
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