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「時は金なり、と米国の大統領も言ってるぞ。それに、ウチに無駄金は無えんだよ」
「この冷血漢め」
「うるせえ、眼鏡オンナが」
にらみ合っています。困りました。喧嘩になって店を汚しはしないかと、僕は心配です。
でも、アオネさんが言った裏の仕事とは何でしょうか?
それに店主様の写眞館は、妖怪とどんな関係があるのでしょうか?
僕はまだ、それを知りません。
「おっと、もうこんな刻限か。おいシロ、もう帰っていいぞ」
にらみ合いながら店主様が言ったので、
「それでは帰らせていただきます」
僕は頭を下げて別れを告げました。この二人をのこして大丈夫かな?
「ちょっと待ちな」
とアオネさんが屋台に走って、
「これを食べておいき」
コロッケを二つ差しだしました。
「ぼ、僕まだ、お金ありません」
「良いってことよ。それより、お姉さんコロッケください、と言ってくんな」
「お、お姉さん、コロッケください」
「善し善し」
お姉さんがくれたコロッケは、香ばしい匂いのする食べ物でした。それにとってもあったかで、なんだかお母さんの温もりがしたのです。
それをオズオズと食べていると、アオネさんがワナワナと僕の尻尾をつかみました。
「キャン!」
「ふふふ、このモフモフ感は陶酔の極みなり」
アオネさんがウットリしながら、僕の尻尾をサワサワしています。でも、コロッケをもらったから仕方がありません。
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