第二章「因果の花」四話「花と知る」

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「ならば護れっ、我を護れば金ははずむぞ」 「是非に及ばず。女子供に手を掛ける輩を護る義理は無い」  朝右衛門さんが必殺の眼光で、フンババの提案を一蹴しました。 「口惜しや、日本人めっ!」  地団駄を踏んで悔しがるフンババ。  僕はその隙に、常さんに耳打ちをしました。 「常さんのグラムサイトで、フンババのなかにある記憶を幻にできますか?」 「エルフのグラムサイトは、相手の記憶を借りて視力を奪う能力よ」 「それならお願いがあります。僕をフンババのなかにある人物に投影してください」  矢継ぎ早に常さんに告げると、僕は再びフンババの方を向きました。  フンババはレオンさんと朝右衛門さんを前にして、憤りを隠せない様子で荒ぶる神のごとく猛っています。 「憎々しいや、日本人どもめっ!」  旧き魔神が醜悪な顔を歪めて罵ったのです。 「無粋な輩よ。儂とレオン殿を相手にする所存か?」 「刃向かうなら、相手になりますよ」  まさに絶対の双璧と化した二人が、荒ぶる魔神に対峙しました。 「我は魔人と恐れられた魔怪ぞ。生半可な半人半妖が敵うと思ってかっ!」  下卑た嗤いで嘯くフンババに、 「待ちなさい」  と荘厳な声で制止した者がいました。 「お、お前はっ……!?」  あきらかに動揺した声をあげて、フンババの表情が凍りつきました。
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