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「失礼しました。本日は訳あって訪ねた次第です」
金髪のお兄さんが、恐縮しながら頭を下げました。
「なんだい用事って? 金の無心なら頼んでも無駄だよ高楊枝」
「高楊枝……?」
アオネさんの言葉が分からず、思わず訊いてしまいました。
「武士は食わねど高楊枝、って言うでしょう。武士が廃業になったご時世に、侍に固執して誇りだけは高いのさ。誇りでおマンマが食えれば世話ないよ」
「お侍さんなんですね?」
「このレオンは人呼んで、ブロンド侍さね」
「ブロンド?」
僕は首をかしげました。
「この金髪のことです。私の髪が金色なので、皆にそう呼ばれています」
「ぼ、僕が見えるのですか!?」
いきなりレオンさんが答えたので、僕はまた吃驚しました。
「外国人と日本人の混血ばかりでなく、私は妖怪と人間との混血なんです。半人半妖、ハーフの半端者だから、君の姿が見えるのです」
なんだか悲しそうな眼です。
「そうなんですね。でも、とてもキレイな髪でうらやましいです」
「……うらやましい?」
「僕なんか油揚げみたいなキツネ色だから、金色の髪をしたレオンさんに憧れます」
「は、半端者なのに、そのようなことを言われたのは初めてです」
レオンさんが紅潮しながらも、はにかんだ笑顔になりました。
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