290人が本棚に入れています
本棚に追加
(バターが付いたパンって、一体どんな味なんだろう? アオネさんのコロッケより美味しいかな?)
もう僕の頭のなかは、バター付きパンの想像でイッパイになりました。
フワフワした心持ちで店主様の後ろを歩いていると、
「ラムネ、ラムネ、ラムネはいらんかね~♪ 飲めば身体が透き通る魔法の水だよ♪」
なんだか聞いたことのある声が聞こえてきました。
「あれは……アオネの屋台じゃねえか」
嫌なモノを見たように、店主様が舌打ちしました。
それで見ると、アオネさんがガラガラと屋台を引きながら、聞いたことのないモノを売っていました。
「あらちょいと、九一さんじゃない? それに魯文さんとシロちゃんまで!」
目ざとく僕たちを見つけたアオネさんが、バタバタと駆け足でやって来ます。
僕たちは逃げることも叶わず、お互いに気まずい顔を見合わせました。
「ちょうど良かった。ラムネ買っとくれよ!」
周りの怪訝な目も気にせず、アオネさんが三本の瓶を差し出します。
「……なんだ、そのラムネってえのは?」
店主様が煙たそうな表情で訊きました。
「新しい飲み物で、ラムネードって言うのさ」
「それを言うなら、レモン水のレモネードじゃねえか?」
「なんだか間延びして歯切れが悪いから、あたしは短くラムネと呼んでいるけどね」
最初のコメントを投稿しよう!