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「斬首された近藤先生の、仇を討つことです」
鉄之助は硬い声で答えました。
すると、店主様が店の奥に行き、一葉の写眞を携えて来ました。
「俺が江戸で撮った近藤勇の写眞だ」
そう説明して店主様が差しだした写眞には、厳つい顔をしたお侍さんが腕組みをし、側に佩刀を置いて座している姿が写っていました。
「これが近藤勇さんの写眞ですか」
僕は感心しながら見ていると、その写眞の異様な点に気づきました。
「店主様、近藤勇さんの背後に黒い影が写っています!?」
近藤勇さんの背後の余白に、その姿を覆うように黒く禍々しい影が浮いていました。
それを見た鉄之助も、息を呑んで写眞を凝視しています。
「その写眞を撮ったのが、新撰組が甲陽鎮撫隊(こうようちんぶたい)と改名した頃だ。
俺は良順先生に請われて、江戸で近藤勇の写眞を撮った。だが、その二月後に近藤勇は斬首されている」
「九一さん、この影はなんだ!?」
鉄之助が血相を変えて訊きました。
「おそらく、その頃から近藤勇は魔に魅入られていたんだな。それは近藤勇を狙う異形の影さ」
「異形の影?」
「外国から日本に侵入した妖怪、魔怪の影が写ったものだ」
店主様が静かに答えました。
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