5人が本棚に入れています
本棚に追加
何?さっきからおかしい。
一体どうなってんの?
そんな私とは違い、困惑している声が後ろから聞こえてくる。
どうやら、私の髪の毛が彼のブレザーのボタンに引っかかってしまったみたいだ。
「………え、まじ?」
まじだよ。まじ。
大まじですよ。
そう心の中で返事を返す。
「ごめん。今取るから待って」
「……あ、どうも。ありがとう、ございます」
頭の上から声がするけど顔が見えない。
背中越しに会話するのって、なんか変な感じだ。
しばらくして頭の痛みが無くなったから、取れたんだなあと思って。
そのまま後ろを振り返ったら。
最初に目に入ったのは、キレイな青。
正確には。
彼の耳元で光るキレイな青のピアス。
朝日を受けて、深く透き通ってる。
「……海みたい」
他とは違う。
特別なピアスだと思った。
いつの間にか思っていたことが声に出ていたみたいで。
しまったと思った。
だけど、返ってきた彼の言葉は予想外だった。
「すげえな。誰も分かんねえのに」
「え?」
「俺も海みたいだと思った、これ」
「うん。私も、そう思った」
最初のコメントを投稿しよう!