第1章 朝礼

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「黒澤支店長、コメントお願いします」 司会進行も務める山口が冷淡に言い放った。 「桜井、まず資料の作成が不十分な時点でこの会議に出る資格はない。売上げ数字もない。さらには今月どの分で数字をつめられるかも考えていない。朝礼でもいっただろ。つまりお前は無責任なんだよ。次も同じような有様だったら容赦なく退場させる。それから林田建築のサッシとリビング建材取るっていったよな。来週の火曜日の朝ミーティングの時に報告しろ。それから町場建築の件、山田に正式にこの場で謝罪しろ」 黒澤の罵声が飛んだ。 左頬の大きなホクロをいじるのは 怒りがマックスになった時の癖だった。山田の視線が突き刺さった。 「申し訳ありませんでした」 頭を下げる。山田の勝ち誇ったような顔が視界から外れた。 「山田、悪かったな。こんな使えない先輩がいてお前も迷惑だよな。俺も今度こいつと専務に謝罪に行ってくるから今回ばかりは俺の顔に免じて許してやってくれ。山田は俺がお願いしているナナナホームのほうに力を注力してくれていいからな。しっかり拡販頼むぞ」 「はい、もちろんです。実は先日新しい物件のサッシの見積もり依頼をキーマンの津山部長から頂けました」
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