第1章 朝礼

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陰鬱な気分で会議を終えた。他の営業メンバーが早々と会議室を去る中、一人残り桜井はプロジェクターの片付けをしていた。本来は山田など年下の後輩がやってしかるべきだが文句を言うことは出来なかった。営業の世界ではいくら年下であろうと成績が良い〔勝者〕に下の〔敗者〕が何かを頼むことはご法度だった。 プロジェクター前には黒澤が残した桜井の営業資料があった。大きく何重にも赤字でバツ印が記されていた。売上高、利益、方策、全てを否定された。身が切り裂かれるようなするどい痛みが体を駆け抜けた。
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