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吉田に駆け寄った。
「すみません。吉田さん。フォークリフトをすぐにどかしてください。倉持邸に行ってきます」
「あ?お前がさっき言ったときにすぐ行かねえからサッシの積み込み始めちゃったよ。自分で移動しろよ」
もちろん桜井がフォークリフトの免許が持ってないことを知った上での嫌がらせだった。しかし、確かにサッシの積み込みは始まっていた。馬車と呼ばれる専用のサッシを立てかけられる台形型の形状をした荷台にサッシを立てかけ、そのあとでビードと呼ばれる固定する強力なゴムでサッシをぐるぐる巻きにして固定する。固定する前にトラックを動かすとすぐにサッシは倒れ危ないばかりかガラスが倒れて来て大けがになる可能性もあった。地団駄を踏む。どうしてこう邪魔ばかり入るのか。
覚悟を決めた。残された道はサッシの積み込みを手伝い、トラックを動かせる状態にするしかなかった。上着を脱ぎ、軍手をはめた。サッシの重さは掃き出し窓で20キロから30キロ、メタボ体形で運動不足の桜井の全身からはすぐに汗が噴き出した。
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