22人が本棚に入れています
本棚に追加
彼はどんな噂にも惑わされず
胡湖炉
というわたしを見てくれました。
ですが
彼は男女問わず好かれる人気者‥
みんなにとって、わたしは目障りな存在でしかないのです。
なんであんたが繭河様の側にいるわけ?
黴菌が移ったらどーすんだよ?!
身の程もわからないのか?
と
先輩と呼ぶべき方々に言われていました。
そんな毎日の中で
わたしは、彼を避けるようになっていました。
彼と居るだけで
喋るだけで
必要以上に嬲られ、自分を守ってしまったんです。
彼を見かける度に避けて 逃げて 逃げて‥
彼の卒業式を迎えてしまいました。
卒業式にわたしは
ごめんなさい、と彼に謝りました。
彼は何も言わずにわたしを抱き締めてくれました。
強くて‥優しかった‥
ごめんね
気付いてあげられなくて‥
助けてあげられくて‥
もっと早く‥側にいてあげられたら‥
ごめんね
役立たずな幼馴染で‥
今日は、会いに来てくれてありがとう。
と耳元で囁いた彼の声は泣いていました。
こんなときに限ってわたしの身体は
涙を溢れさせてしまったんです。
うまくお礼も言えないくらいで
ありがとう
って
伝えたかったのに震えてあまり、発音できませんでした。
その直後
黴菌がなにしてんのよー!!
と
甲高い声が響き
人が集まってきました。
わたしは、すぐに逃げ出してしまいました。
逃げてる途中で
背後から罵声が聞こえたのを覚えています。
罵声と共に
悲鳴が聞こえました。
最初のコメントを投稿しよう!