居場所がありません。

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彼はどんな噂にも惑わされず 胡湖炉 というわたしを見てくれました。 ですが 彼は男女問わず好かれる人気者‥ みんなにとって、わたしは目障りな存在でしかないのです。 なんであんたが繭河様の側にいるわけ? 黴菌が移ったらどーすんだよ?! 身の程もわからないのか? と 先輩と呼ぶべき方々に言われていました。 そんな毎日の中で わたしは、彼を避けるようになっていました。 彼と居るだけで 喋るだけで 必要以上に嬲られ、自分を守ってしまったんです。 彼を見かける度に避けて 逃げて 逃げて‥ 彼の卒業式を迎えてしまいました。 卒業式にわたしは ごめんなさい、と彼に謝りました。 彼は何も言わずにわたしを抱き締めてくれました。 強くて‥優しかった‥ ごめんね 気付いてあげられなくて‥ 助けてあげられくて‥ もっと早く‥側にいてあげられたら‥ ごめんね 役立たずな幼馴染で‥ 今日は、会いに来てくれてありがとう。 と耳元で囁いた彼の声は泣いていました。 こんなときに限ってわたしの身体は 涙を溢れさせてしまったんです。 うまくお礼も言えないくらいで ありがとう って 伝えたかったのに震えてあまり、発音できませんでした。 その直後 黴菌がなにしてんのよー!! と 甲高い声が響き 人が集まってきました。 わたしは、すぐに逃げ出してしまいました。 逃げてる途中で 背後から罵声が聞こえたのを覚えています。 罵声と共に 悲鳴が聞こえました。
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