母は私を切ります。

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古くて寂れたアパートの一室。 ゴミが散乱しアルコールの臭いと腐敗臭が漂う。 ささくれた畳には血痕が散らばっています。 此処は 私の所属している住居。 でも 此処には私の居場所なんて‥ないのです。 中学を卒業して 家にいる時間が長くなりました。 母は酒に酔っています。 何やら喚いて 立ち上がると フラついた足取りで私の髪を掴み 畳の上に私を押さえつけました。 視界が歪みました。 ささくれた畳のカスが目に入りそうだったので そっと 瞼を閉じました。 真っ暗な視界の中で 母の狂った様な笑い声が響きます。 母は、アルコール依存症です。 父ですか? そうですね‥父は‥ギャンブル依存症です。 お金がなくなると 家に帰って来て 部屋中を荒らして お金を全て持って行ってしまいます。 荒らす序でに‥私を殴っていきます。 殴って タバコを私の腕に押し当てて‥そう 灰皿みたいに、不自然さがないんです。 ん? ‥皮膚の開かれた感触‥いや 母の手に持っていた包丁が私の腕を切った感触がしました。 瞼を開けると‥ 出血している様です。 母はよく、私を切ります。 だから、包丁は いつも私の血で赤く‥染まっていました。 ぁあ、母が再び私を切りました。 これは痛そうですね。 勢い良く血が溢れています。 あ、私 痛みを感じないんです。 何も感じません。 外出すれば 偽りの‥薄っぺらい笑顔で過ごしています。 中学の時も。
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