居場所がありません。

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喚き声が収まりました。 母は、酔い潰れて寝込んだ様です。 私は、こそこそと 音を立てない様に 台所へ行きました。 泥棒みたいですね。 以前入られたので、わかってしまいます。 私のいた部屋は 母のいるリビングを挟んで台所と並びます。 まぁ、階段を下りますが。 母の背後を通って台所に入り 冷蔵庫を開けました。 その瞬間に 腐った物の臭いと 酒の臭いが混ざり合った異臭がしました。 その中から食べられそうなものを掴んで 冷蔵庫の扉を閉めました。 私の選んだのはチーズです。 ‥リビングを通ると 母は、机にもたれ掛かっていました。 私は、寝室のクローゼットからカーディガンを持ち出し 母にかけました。 何故、こんなことをしているのでしょうね‥ わかりません。 かけた時に気付きましたが 母が寝言を言っていました。 ごめんね と。 涙を流していました。 寝ながら器用な事をする人なのですね。 さて 部屋に戻ります。
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