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江戸城の城門は開かれ兼続達残存兵力が、続々と吸収されて行く。対照的に敵兵は本陣に向かい撤退して行く。
兼続はこの頃にようやく生還した事を実感した。
数倍の兵力を相手に互角以上の戦いを演じたのだ。今だけは喜びに浸りたい。
「直江様」
生還した兼続を喜びの表情に満ちた氏家が出迎える。兼続は氏家を見つけると、言葉を出さずにただ抱きしめた。
良く見れば氏家の顔も泥にまみれ、甲冑には何本かの矢が刺さっている。城に残った兵達もギリギリの戦いを強いられたのであろう。彼等の苦労は容易に知れる。
兼続は喜びを分かち合うと共に、矛盾した感情を抱いていた。
敵は追い返したが自分を残した五手組は全員死亡。援軍に来てくれた鬼岩は命に別状は無いが、左手を失ったようだ。
何より多くの兵達を失ってしまった。果たしてこれで勝利と言えるのだろうか?
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