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複雑な感情が入り乱れた兼続にさらなる訃報が届く。
「申し上げます。城の北方より敵兵2000、真っ直ぐにこちらに向かって来ます」
「何だと」
これには兼続も激しく動揺する。井伊隊が体制を立て直すにしても早過ぎる。では新手の部隊が攻めて来たというのか?
今、攻められてはひとたまりもない。疲れ切った将兵達はあっという間に、敵に飲み込まれるだろう。
信じられぬ。いや、信じたくは無い。ここで攻められては今までの苦労が水の泡だ。
兼続と常若は全速力で状況を確認する為に、物見台に登る。そして、そこで見た物は報告に間違いが無いという確信に変わった。
報告通り城の北方より、2000名程の軍団がこちらに向かって来る。
兼続は眼を伏せながら横に居る常若に眼をやったが、常若でさえ自失呆然といった状態だ。
つまり万策は尽きたのである。
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