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しかし向かって来る軍団に変化が起きた。
真っ直ぐに向かって来た軍団が転進し、敵の本陣に向かって行く。
「どういう事だ?」
不思議に思う兼続達を目掛け、伝令係が飛び込んで来る。
「伝令ー。あの軍団の旗指し物は竹に二羽の雀。おそらくは上杉家の軍と思われます」
「何と」
言われて見れば軍装は黒が主であり、見慣れた上杉家の家紋が所々に立っている。
助けに来てくれたのだ。徳川の包囲を破って。
兼続達は安堵の表情と希望に満ちた表情に変わっていた。この戦いに勝ち、次の新しい世の中が来るという事を確信したからだ。
皆が歓喜に湧く中で、兼続だけは次の世の仕組みを考え、戦の無い世の中を夢見ていた。
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