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「被害者は、二十代男性! 後頭部に傷と、車との接触時に臓器挫傷による出血性ショックがあったとみられ、現在は意識が………」
警察とともにやって来た救急車に、
先に運び込まれた松雄と、
私が車ではねた岩田が担ぎ込まれている。
救急隊員の早口な説明を聞き、
高野刑事は顔をしかめて、そして、
他の署員に拘束されている私を、
鋭い眼差しで見つめついた。
遅れてきたもう一台の救急車に、
やっと、
ケイタが担ぎ込まれる。
「こちらも二十代男性、
殴打のあとが見られ、意識はあるようです」
「アイツが悪いんだよっ!!
アイツが私だけじゃなくてケイタまで殺そうとしたからっっ!
アオイは正当防衛だよっ!」
ケイタの容体も確認中の高野刑事に、
凛々子が泣きわめきながら、
このトラブルの説明をしようとしていた。
「後でちゃんと聞くから、とりあえず車に乗ってもらえる?
あ、妹とは別のにね!」
それを、高野は邪険そうに払い除けて、
現場の検証をすすめていた。
「ケイタ………」
救急車に乗せられたケイタが、
殆ど開かない目で、
私の方を見て、手をあげていた。
「ケイタ………何か言ってる」
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