第1章

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「被害者は、二十代男性! 後頭部に傷と、車との接触時に臓器挫傷による出血性ショックがあったとみられ、現在は意識が………」 警察とともにやって来た救急車に、 先に運び込まれた松雄と、 私が車ではねた岩田が担ぎ込まれている。 救急隊員の早口な説明を聞き、 高野刑事は顔をしかめて、そして、 他の署員に拘束されている私を、 鋭い眼差しで見つめついた。 遅れてきたもう一台の救急車に、 やっと、 ケイタが担ぎ込まれる。 「こちらも二十代男性、 殴打のあとが見られ、意識はあるようです」 「アイツが悪いんだよっ!! アイツが私だけじゃなくてケイタまで殺そうとしたからっっ! アオイは正当防衛だよっ!」 ケイタの容体も確認中の高野刑事に、 凛々子が泣きわめきながら、 このトラブルの説明をしようとしていた。 「後でちゃんと聞くから、とりあえず車に乗ってもらえる? あ、妹とは別のにね!」 それを、高野は邪険そうに払い除けて、 現場の検証をすすめていた。 「ケイタ………」 救急車に乗せられたケイタが、 殆ど開かない目で、 私の方を見て、手をあげていた。 「ケイタ………何か言ってる」
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