一章

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「で、でしたら言わせていただきますが、実は……」  陽芽子が決心して口を開いたところで、階段を上がる音がした。ボスは立ち上がると、アイに手で指示を出す。アイは頷いて陽芽子を立ち上がらせると、先程のカウンターまで連れて行って椅子にかけさせた。 「タイムリミットだねェ、ごめんねェ」 「え、そんな……っ!」  まだ二十分も経っていない。だが時間とあれば引くしかなかった。また足のつかない椅子に乗せられて、陽芽子は唇を噛んだ。 「帰りたくなったら、ご自由にね。私たちはお仕事をさせてもらうわ。くれぐれも邪魔はしないでね、お嬢さん」  濃いグリーンの扉が開き、来客を告げる鈴の音が響いた。 「えっと、代行屋さんはこちらでしょうか……?」
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