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「座りましょうか。私たちの仕事内容とは違うけれど、その名前を聞いたら無下にはできないわ」
店内中央の席は三人掛けの二つの大きなソファで相対している。誕生日席のようにはみ出た一人掛けソファにボスは腰を下ろし、三人も同様に腰掛けた。依頼人に対して奥へ三人並んで座るのが定石のようだが、ルイが中心になって座るのでやや窮屈にも見える。
「さぁ、六条院陽芽子さん、お掛けになって。あと三十分で今日の依頼人がいらっしゃるの。私たちの情報を聞き出したいのなら、まずはお話して頂きたいわ」
ボスの言葉を受けて、陽芽子は入り口側のソファにちょこんと座った。アリス・ビスケッツの水色の布地を握りしめて、六条院陽芽子は息を吸い込んだ。
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