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鬱蒼とした木漏れ日溢れる森の中、ジークは目の前の巨大で絶対的な力の怪物に追われていた。その怪物は槍や剣をも弾くウロコに覆われ、蛇のようでもトカゲのようとも表せる生物。口からは鉄をも溶かす炎、一度羽ばたけば木々は大きく揺さぶられ、一歩歩めば大きく地響きがなる。
生物界の絶対王者とも言える龍。つまりジークはドラゴンに追われていた。しかし、空を飛ぶドラゴンから逃れられるわけもなくあっという間にジークは岩壁に追い詰められていた。
どうして僕がこんな目に!!!?
震え上がったジークは声には出せないが胸の中では今まで出したことのないほどの大声で叫んでいた。
ー ー ー ー ー ー ー
15分前
「ここどこだろう?もう迷い始めてから2日は経ったのに人気はないし....」
元はと言えばあのいじめっ子3人組のせいだ。学校で森まで薬草を取りに行く実戦型の授業で同じグループになんかならなければ....
ジークは村出身の魔法学校に通う人族の1人で成績は下から数えたほうが早い。というか上から数えていくとキリがない。だが、魔法を使える者は優秀だろうとそうでなかろうと希少な人材だ。
いじめっ子3人組の成績は中の下の下だ。リーダー格のタヌキ野郎なんかは貴族であるにもかかわらず中の下の下という成績で親に色々言われているらしい。だから自分より成績が悪い、この僕がいじめの標的になった。
そっか。もうじき3年になるのか。全然嬉しくないけど
そう、ジークがいじめられ始めてからもう3年も経つのだ。学校へは7歳から行けるがジークは村人達が金をかき集めて送り出してもらえた。ジークは10歳で入学し、今年で7年目だ。卒業まであと1年だが、才能が開花することはない。
話が脱線した。どうして迷子になったかだった。理由は単純、タヌキ野郎率いる3人組がグループの残りのもう1人に気づかれないように僕を崖から突き落としたのだ。下は川が流れていて助かったが、死んでたらどうするんだ!!お前らのストレスも解消できなくなるんだぞ!!ってなことで川をどんぶらこどんぶらこ、と流された。川は合流に合流を重ねるものだから岸についても川を登るだけでは帰れなかった。
そんなこんなで今に至るわけだ。ジークは喉の渇きを潤すために川へ向かうと川上から何かが流れてくるのがわかった。
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