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「まあ、文化祭みたいなもんですね。焼きそば屋やたこ焼き屋などいわゆるお祭りでもメジャーな屋台から、アカデミックな研究発表会、外のステージではライブやマジックショー、女装コンテストやミスコンなども開催されています」
愛里は恐らく学際に参加したことなどないだろうから、颯太が学際について説明してやる。これでも、大学1、2年生の頃は屋台で売り子をしていたこともあるのだ。
「このミスコンは1位に輝いた女性とかがアナウンサーや芸能人になったりする登竜門でもあるんですよ」
東央大出身の美人の芸能人の中にはこのミスコンに参加したことで脚光を浴びた者もいる。才色兼備ということでメディアも持ち上げやすいのだろう。
「結構、有名人がゲストに来たりして。ほら、テレビでたまーに見かけるお笑い芸人の“えくすぺんだぶるず”が今年は来るらしいですよ」
「そんな方、知りませんね」
「あはは……まあ、マイナーといえばマイナーですから」
愛里はあまりテレビを見ないため知らないのも無理はなかった。
対して、圭太は颯太の説明に目を輝かせている。
「うおお、さすが東京! 規模が違うぜ! 俺達の分校の文化祭なんて……」
「そもそも教室が1クラスしかありませんからね。確か喫茶店をやって地域の方達を招いたんでしたっけ」
「ああ、結局、客として来た高齢者のありがたい話を何回も何回も聞かされる会になったんだったけな」
「そ、それはそれは……」
どうやら愛里と圭太の故郷は本当に人が少ないところらしい。颯太はずっと関東で育ってきたため、愛里の住む比久羅間村がどういったところなのかは分からないが、恐らく颯太の常識が通用するようなところではないのだろう。
「決めた! 俺、明日学祭に行く! だから今日みたいに案内してくれ!」
圭太が愛里に懇願する。
「嫌です。私にはすることがあるんです」
そもそも学祭に参加するのは大学生までだ。大学院生は学祭にはあまり参加しない。
「まあいいじゃないですか。俺も久々に学祭行ってみたいし行きましょうよ、神楽坂さん。たまにはリフレッシュもすべきですよ」
「おっ、福豊だっけか? お前分かってんな!」
バシンと颯太の背中を叩く圭太。
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