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圭太は地方から東京までバスや電車、飛行機を乗り継いでやってきたのだろう。それを何も観光させずに帰すのは不憫であった。見たところ東京にも不慣れなようだし、放っておくのも忍びない。
また、普段から研究漬けになっている愛里を外に連れ出すには絶好の機会だとも颯太は考えていた。毎日研究室で愛里と顔を合わせてはいるが、たまにはいつもと違う雰囲気で彼女と接したいと思っていたところだった。
圭太と愛里の関係、本当はふたりがお互いのことをどう思っているのかは気になるのだが(愛里も彼のことを嫌っているわけではなさそうだ)それよりも祭を愛里と一緒に歩けるというシチュエーションに期待していた。
圭太しか知らない愛里の素の顔がもっと見れるかもしれない。
「はあ、まあ分かりましたよ。少しだけですよ」
「やった」
颯太と圭太はお互い顔を見合わせてニヤリと笑いあった。
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