×××プロローグ×××

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───西暦2555年。 この国では子供が産まれるとマイクロチップを五歳の時に体内に埋め込まれる。 マイクロチップの主な役目はもしも子供が行方不明で居場所がわからなくなった場合、居場所を探知するために、或いは犯罪者となった者の居場所の探知だったりと、マザーブレーン(電脳コンピューター)にデータを記録される(国民番号も含む)。警察のデータベースにも記録され、政府のデータベースにも記録される。つまり、どこに逃げようとも居所はマザーブレーンによってバレてしまうのだ。 第三次世界大戦が2101年に終戦を迎えてからこの法は変わらずこの国に定着している。出来るだけ多くの人命を救うための配慮でもある。過保護な日本。男女平等。政府は出来るだけ子供を増やそうとしていた。 犯罪の絶えない日本。若者の自殺が多く、日本は著しく傷んでいった。昭和の時代とは違い、子宝にあまり恵まれることはない。もしも子供が出来ても様々な原因から死んでいく。 不思議なことに先立つのが子供で、残されるのは親。どんなに医学や科学が進歩しようとも自ら死を選ぶ若者を止めようがないのは事実であった。
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