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声が裏返る。涙が溢れそうになるのを堪えているようだった。成実の脳裏には最後に見た父の顔が思い返される。額を包帯で巻かれた父。父は事故死じゃなかった……?
「父は安西慎二に殺されたのですね!」
「恐らくな。安西慎二の監視をしていた修平は、知ってはいけない情報を知った。だから安西慎二は真っ先に修平を殺めた。それと……娘さん、お前さんに渡すものがある」
老人は立ち上がると本棚から一冊の本を取り出し、挟んでいたしおりを取り、それを成実に渡した。それはしおりではなかった。折り畳まれた手紙。成実は手紙をポケットに入れた。
「後で見なさい。事実を知ったお前さんには少々酷な気もするがね」
成実は俯く。
「…………ちょっと一人になります」
成実は外へ出た。リクが「おい!」と呼んでも成実は振り向きもしないまま出ていった。老人はリクを制す。
「リク、やめなさい。彼女にとって大切な時間じゃ」
リクはやるせない気持ちで舌打ちをした。
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