×××お星さま×××

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手紙を読み終えると、手紙に涙の雫がポタポタと落ちた。焚き火の炎にあたる中で、成実の手のひらの上に淡く輝く星のペンダント。父はどんな思いで星のペンダントを手紙の中に入れたのだろうか。成実には父のその時の心境が容易に想像がついた。 辛くて。 悲しくて。 心配で。 心残り。 「お父さん───!」叫んだ。父は最後の最後まで自分と母のことを考えていた。成実は涙を拭う。星のペンダントを首に回し、付ける。綺麗な星。 ねえ、あれなに? お星さまだよ。 キレイ……。パパ? なんだい? お星さま取って。 思い出が頭の中で駆け巡る。成実は瞳を閉じて、父の面影を追った。 成実の名前の意味は【成る実】。 しっかりした子に育つようにとの意味。強くあってほしいと願う気持ち。 成実は瞼を開けた。 「私、お父さんの娘でよかった」 心からそう思う。
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