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「だったらどうすればいいのだ?安西君」
安西の向かいに座る園田修平(そのだしゅうへい)が言った。
安西は園田に視線を向けると整った中性的な顔を引き締め、ぼそりと呟く。
男性が女性を襲えばいい……。
皆は視線を安西に向けて、その発言に驚愕した。園田は「今なんと?」と聞き返す始末。
安西は鼻で笑った。オールバックにスーツ姿は様になっている。
「男性が女性を襲い、無理にでも性行為に持ち込めばいい。それを義務として全国民に申し立て、世に広める。期間は大体一年の間としましょう。その間にこの国にはだいぶ子宝に恵まれているでしょうから」
くくくくくっ。安西は笑う。周りは震えた。コイツは狂っている。
年頃の娘がいる園田には安西を黙って見過ごすわけにはいかない。
「安西!わかっているのか!?そんなことをすれば反乱が起き、この国は壊滅することになるぞ!それにお前が言っていることは一人よがりの……」
バーン。銃声が部屋に響いた。乾いた発砲音。安西の手には銃が握られている。そして、園田の額のど真ん中をい抜く鉛玉。園田は倒れた。深紅の鮮血が床を血だまりへと変える。
「わかっていないのはアンタだよ、園田さん」
安西は園田の遺体に吐き捨てるように言った。
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